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猫の食事

2021.05.11

猫の食事

猫に与える食事は、ドライフードがいいのかウェットフードがいいのか?永遠の問題です。歯の健康を考えるなら、断然ドライフードがお勧めですが、水分摂取のことを考えるとウェットフードがお勧め。ウェットフードは、野生の状態と同じですが、少量頻回の猫の食事パターンを考えると、ウェットフードを何度も出すのは難しいですね。そこで朝晩の主食はウェットフードにして、間食でドライフードを与えるのがお勧めです。また、手作り食を利用するのも目先が変わっていいですね。

 

◎炭水化物利用能

猫の一番特徴的なものは炭水化物を利用する能力が非常に低いとうことです。ただまったく炭水化物を利用できないわけではなく、健康な猫では。炭水化物含有量が35DM利用することができます。また、繁殖期や授乳期には炭水化物は必要になってきますので、猫のライフステージに合わせた食事が重要になります。

猫は甘みを感じることができず、フルクトース(果糖)を代謝する酵素をもっていません。

 

◎たんぱく質代謝

犬に比べるとたんぱく質の要求量は多く、成猫のたんぱく質要求量は、成犬の2倍です。猫は、たんぱく質から糖を作っています(糖新生)。猫にとくに必要なアミノ酸は、アルギニン、メチオニン、シスチン、タウリンです。アルギニンが不足すると、短時間で高アンモニア血症を発生したり、尿毒症になります。メチオニンとシスチンは成長期に必要なアミノ酸で、欠乏すると発育不全や、口や鼻の粘膜接合部分の皮膚炎などになります。タウリンは、猫の繁殖や胎児の発育に関係をしており、タウリン不足の歯猫から生まれた子猫は、小さく虚弱であることが多いです。タウリンが欠乏すると、目の異常(中心性網膜委縮や失明)や心臓の異常(拡張型心筋症)になります。タウリンは、必ず食事から摂らなければなりません。AAFCO(米国飼料検査官協会)の推奨値は、以下のとおりです。

ドライフードで0.1DM

ウェットフードで0.20DM以上

 

◎脂質代謝

脂肪の利用能は非常に高く、脂肪は主たるエネルギー源であり、猫は動物性油脂の風味を好みます。必須脂肪酸は、リノール酸、アラキドン酸、α‐リノレン酸、DHAEPAです。DHAEPAは成長期や妊娠期に特に必要になります。アラキドン酸は、植物にはほとんど含まれていないので肉や魚、卵などの動物性のものから摂らなければなりません。 α‐リノレン酸は、アマニ油やえごま油などに豊富に含まれています。

 

◎ビタミン代謝

犬と異なり、ナイアシンをアミノ酸のトリプトファンから変換できません。必要量は犬の4倍ですが、肉の中に多く含まれるので、実際に欠乏になることはありません。またβ―カロテンをビタミンAに変換できません。人や犬は緑黄色野菜を摂取するとビタミンAを生成することができますが、猫はできません。必ずビタミンAという形で摂取させなければなりません。また、犬や猫は人と違って、日光浴をしてもビタミンDを作ることができません。ビタミンAと同様、ビタミンDの摂取は不可欠です。

生の魚にはビタミンB1を破壊する酵素(チアミナーゼ)が含まれます。大量給餌は避けるようにしましょう。

 

ポイント!

昔のことですが、ドッグフードを猫に食べさせていた飼い主がいました。その飼い主さんは、猫用の食事より経済的であったという理由から猫にドッグフードを食べさせていたそうです。ドッグフードとキャットフードには、一見なにも問題がなさそうですが、前述したとおり必須アミノ酸などが必要であったり、猫には必要ではないものがあります。ドッグフードは、猫の下部尿路疾患に対する配慮がされていないため、尿のアルカリ化やストルバイト尿石症の危険性を高めます。ドッグフードに使用されている保湿剤であるプロピレングリコールは、猫が食べると、赤血球にハインツ小体が生じ、ネギ中毒と似たような症状を起こします。プロピレングリコールは化粧品にも使用されていますので、絶対に舐めさせないで下さい。食性も栄養要求も動物によって違うので、必ず猫にはキャットフードを食べさせるようにしましょう。

ペット栄養管理士 東谷みのり

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